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オープニングイベント

2013年7月21日。

松永文庫展示室の旧大連航路建屋への移転オープンに伴う記念イベントとして、地元北九州出身の映画監督・平山秀幸さんをお招きしてのトークショー&上映会が催されました。

当日の様子を遅ればせながらお伝えします。

上映作品は2010年度作品「必死剣鳥刺し」。製作当時、邦画では藤沢周平時代劇がブームになっていましたが、本作は隠し剣シリーズ中屈指の異色作。クライマックスの殺陣の迫力に平山監督のこだわりが光ります。

今回の35mmプリントによるフィルム上映はデジタル上映館が大勢を占めつつある現状では大変貴重な機会で、なんと平山監督自身フィルムによる本作の上映は初めて観るという言葉に日本の映画界の実情が垣間見えた気がしました。

日曜日の午後、直前に決まった日程にも拘らず会場には熱心な映画ファンの姿が。凪学芸員のあいさつの後、トークショーが行われました。途中からは松永武室長も加わり、お話は監督の映画製作全般に及ぶ楽しいものとなりました。例えば、

「最初に映画の現場に入ったのは友人の紹介で運転手として。長谷川和彦監督の青春の殺人者でした。」

「初めてチーフ助監督についたのが故・伊丹十三さんの初監督の時。もの凄いエネルギーの人で、連絡初日に呼び出されて、そのまま90㏄のバイクの後部座席に座らされ都内のロケハンを8時間。半死半生で狸穴の蕎麦屋にたどり着いて、吐きながら食べた(笑)。」

「自分が映画の世界に入った頃にはすでに撮影所のシステムは無く、監督の立場も変化していたけれども、自身の経験から云うと、助監督時代に映画本編の製作にこだわり続けた人で一本も撮れずに終わった人はいないと思う。」

「自分からやりたいと手を挙げた企画は『てれすこ』だけ。故・勘三郎と酒の席で約束したら、忙しい中スケジュールを空けてくれた。今でも感謝している。」

「映画の企画は主演が美男美女でないと中々通らない。今日の『鳥刺し』も、自分の中でのイメージはトミー・L・ジョーンズだった。」

「女優は中身は男、逆に男優は女。」

「同郷の俳優・光石研。地味だが芝居に入るとエネルギーが出る人です。」

以前から往年のカツドウヤ的な平山監督の作風がお気に入りの松永室長から、

子供の芝居が絶品ですね?との問いには

「自分に子供がいないからかな。 多くの場合は職人気質のスタッフのおかげです。」と云いながら、

『愛を乞う人』のシーンで子役が汚物に顔を突っ込む場面にイチゴ味の汚物を用意した優しい小道具さんのエピソードを紹介。

上映の準備のためトークは一旦終了するも、引き続き階下の展示室をご案内する間も取り巻くギャラリーは途切れる事がありません。

監督に文庫の感想を伺うと、

「この資料が保存されている事が結構衝撃ですね。」

と、展示に見入って居られました。

作品上映が終わった後は場所を移して平山監督を囲んだささやかな懇親会となり、和やかな雰囲気の中で監督の母校・明治学園や戸畑近辺の昔話、あっと驚く来夏の新作の話(!)などが夜更けまで続きました。

wriiten by おりおなえ

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