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2014.5.5 GWスペシャルシアター

さて皆さんのゴールデンウィークは如何でしたか? かねてお知らせの通り 連休の松永文庫は5月5日のこどもの日、 GWど真ん中の特別企画として1980年東映動画作品「サイボーグ009 超銀河伝説」の上映が催されました。 今回のメインのお客は両親同伴の小学生とあって、松永室長もそうとうトークの内容に悩まれた様子。 幸いに前列のノリの良い女のコが大きな声でハキハキと松永おじちゃんの質問に答えてくれたので、 アニメは今風のおとぎ話という流れから前説が始まりました。

そんな室長が自らのアニメ体験として語ったのが、 なんと伝説の「桃太郎海の神兵」を映画館で観た記憶というのが圧巻でした。 皆さんはご存じでしょうか、「桃太郎海の神兵」? 桃割れも凛々しく帯刀した帝国海軍飛行兵姿の桃太郎曹長が、 鬼畜米英の悪者共を成敗して王道楽土たる亜細亜に平和が訪れるという、 有り体に言えば当時の大日本帝国の状況をモロに反映した児童向けプロパガンダ映画なんですが、 しかしその精緻な作画技術が当時の海外アニメーションにも全く引けを取らない日本アニメ史上屈指の名作でもあります。 室長自身、作品の意図や当時の風潮はともかくとして、

スクリーンで活躍する桃太郎に心躍らせた幼い日の想い出を語っておられました。 この作品、戦後長らく行方不明の幻の映画だったんですが、 ちょうど30年ほど前にプリントが再発見されて大きな話題になった事がありました。 私も公開当時に観た方の貴重な話を直に伺った のは初めてでしたが、 作品自体は今ではソフト化もされているので機会があれば皆さんも是非ご覧下さい。必見ですよ! そして本日の主役「009」ですが、 35mmの劇場用プリントは大きな欠損もなく、 僅かに退色気味のセピアな調子が34年の歴史を感じさせるものの、 宇宙創成の原初から大上段に振りかぶるオープニングの壮大さが、 正に昭和アニメブームの真っ最中でイケイケだった東映動画の気分を伝えてくれます。 しかし今どきこんな「愛」やら「正義」やら連呼されると逆に新鮮かも。 意外と小さなお友達よりご引率の方が喰いついていたようでした(笑)。 悪役やゲストキャラのデザインなんかが当時の石森プロっぽいと感じるのは年寄りの証拠ですね。 作劇上は相当足を引っ張っている009と003のモジモジソワソワ状態も、我々にはもはや微笑ましい。 原作や他の映画作品で009をご存じの方はお分かりのように、何しろこの二人、どんな状況・どんなタイミングでもこの調子で、 「ジョー!」「フランソワーズ!」 これこれ、コレが無いと009観た気がしません。 去年やってたRe:cyborg版はラストの展開といい、 実はこの「超銀河」のリメイクになっているような気がする…というのはマニアックな私感であります。 当時の世相をいまに残る情報だけで判断すると、 東映作品としては松本零士原作ものやメディアミックスのハシリ「地球へ…」などに埋れてしまいがちな本作ですが、 最もアニメブームで潤ったはずの東映ですら、実際に何が若者に支持されているのかロクに理解できないまま、 手持ちの材料の中からSFアニメ映画っぽい代物を作っていれば良いか、

という程度の認識だった事を、或る意味証明をしてくれているのは皮肉なことです。 私も当時は生意気に009なんて今さら?と、今で云うところのオワコンだと思っていたのを覚えています。

どうも手塚治虫や石ノ森章太郎に関しては、21世紀に入ってからの持ちあげ方が大袈裟すぎて、 当時を知る我々には鼻白む感じのする時がある事 は言っておいた方が良いのかもしれません。 この後、季節毎の開催で日本中の子どもたちに人気を誇った「東映まんがまつり」は「TOEIアニメフェア」へと意匠を変え、 日本映画全体に現在まで大きな足跡を残すことになるジブリの夜明け「風の谷のナウシカ」の配給を東映が担当する事になるのですが、 それはまた別の話。 次回5月のマンスリーシネマはご家族連れにもおススメの「ハチ公物語」。 話題にもなったヒット作ですが、意外と観た気になってる方いませんか? 未見ならどうぞこの機会に、名優・仲代達矢の円熟の演技をご覧ください。 リチャード・ギアとどっちが渋いかな~(^_^)

wriiten by おりおなえ

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