「高倉健主演映画音楽コンサート」
寒さもいよいよ本番、だいぶフライング気味だった初雪はともかく、
例年どおり年内の積雪の行方が気になる時節になりました。
ずいぶん遅れましたが過日のコンサートのレポートをお届けします。
それにしても我ながらダダ遅れのタイミングですが、全ては私の遅筆ゆえ。
まあ備忘録以外の価値などありませんので気楽にご笑覧ください。
松永文庫恒例の地元ミュージシャンによるオリジナル企画コンサート、
今年も誰に頼まれた訳でもないのに過剰に凝った構成と中身で回を重ねるこのシリ
ーズですが11月19日土曜日、幸い天気にも恵まれて、ここ旧大連航路上屋2Fホ
ールで催されました。

今回はその名も「高倉健主演映画音楽コンサート」、
我が文庫の頭脳である松永武室長が響ホール室内合奏団の精鋭とともに、
単なる故人の回顧以上の内容を目指して立案しました次第ですが、如何でしたか?
とかいいながら当日いきなりの体調不良による室長欠席という超緊急事態勃発!
今でこそエピソードとして振り返ったりしてますが、当時はもう大変。
室長にお任せ状態のはずだったプログラム進行も解説内容も、
サポーターくらぶの木戸聖子氏が急遽代理となって何とか間に合わせましたが、
いやもうスレスレキワキワの出たトコ勝負、さすがは本番に強い駆けずの聖子。
当日の堂々たる司会ぶりに敬意を込めて、二つ名をお贈りしたく存じます。
あ、室長の体調の方はすっかり回復済みですのでご心配なきように、との事。
今回は年齢相応にあまり無理をせぬ様にと、むしろ周囲が大事をとった(とらされ
た?^_^)模様で、ご本人はさっそく定常業務運行中だそうデス。これからは少~し気を
付けましょうね、室長⁉︎
さて当日の会場の様子をお伝えして参りましょう。
まず第一部の幕開けは響ホール室内合奏団のお三方、
ヴァイオリン : 加来洋子、 チェロ : 関原弘二、 ピアノ : 上村貴子に
ヴォーカル :Aiを加えての昭和歌謡SHOWタイムから。
それぞれの作品プロフィールと共に映画主題歌が奏でられます。
タカオ・カンべ作詞の名調子も懐かしい「網走番外地」から村田英雄の「花と龍」、
ご存じお登紀さんの「時代遅れの酒場」と続いて、
阿久悠&浜圭介名コンビの「舟唄」が流れる頃には場内はすっかり20世紀。
レパートリィめっちゃ豊富なAIさんがすっかり気分をだしてくれて、コブシが廻る廻る。
手拍子ががっつり揉み手になってるお客さんも多かったですね。
大熱演のAIさんはここでいったんバックステージへと下がり、
演目はインストの劇判に移ります。曲は芥川也寸志「八甲田山」メインテーマ。
厳寒の大自然と人間ドラマを彩るあのメロディが空気を引き締めると、
コンサートも佳境へと入って参ります。
パート1の締めくくりは、高倉健さんが松永文庫を訪問された時の様子が、
MC木戸聖子から紹介されます。
『それは平成23年10月16日、午後2時半ごろ、
遺作となった「あなたへ」撮影で北九州においでになった時のことです。
事前にスタッフから高倉健さんをそちらにお連れしたい、10分くらいお邪魔できないだ
ろうか?との問い合わせがありました。もちろん大歓迎です。程なくワゴン車で10人
のスタッフと来館されました。
当時松永文庫では、ベートーヴェン、チャイコフスキー、マリア・カラス、グレン・ミラー
等の音楽家・ミュージシャンをテーマにした音楽映画企画展を開催中でした。
展示ポスターの中の一つ、「日本フィルハーモニー 炎の第五楽章」の前で、
あ、裕子さんだ、と足を止め、しばらく見入って居られました。
撮影中の「あなたへ」で相手役の田中裕子さんが写っていらっしゃいました。
しばらくして健さんは、松永さんが音楽はお好きなんですか?と訊ねられました。
その隣に展示してあった「タンゴ」のポスターにも目を停められて、
わたし、今、タンゴに興味があるんですよ、と云われました。
昼下がりの今頃、天国の健さんは大好きなコーヒーでも味わいながら、タンゴの名曲
をお聴きになっているのかもしれません。』
いささか強引な導入から第一部の最後はタンゴの名曲、「ラ・クンパルシータ」でした。

第2部は文庫ではもうお馴染みの二胡奏者・帯金真理子さんを加えて、オリエンタル
なアンサンブルを満喫しました。最初は大ヒット作「南極物語」メインテーマから。
エモーショナルで、どこかエキゾチックな二胡の調べに誘われて、古の中国と映画ゆ
かりの名曲3曲、「支那の夜」と「蘇州夜曲」そして「何日君再来」が続きます。
『・・・いつか高倉健さんの映画を撮りたい! 「単騎千里を奔る」は中国を代表する映
画監督・張芸謀と健さんが意気投合して2006年につくられた映画です。中国の古典
文学三国志を基に、健さん演じる主人公は余命幾許もない息子に代わって仮面劇
「単騎千里を奔る」を撮影する為、中国を訪れます。そこで素朴な中国人の心に触
れ、主人公タカダの想いもまた中国の人々の心を動かしてゆきます。
「戦馬奔謄」は映画の基になった三国志の曲です。広大な草原を駆ける人馬の嘶き、
掛け声や蹄の音を表現した中国の名曲をお聴きください。』
休憩を挿んだ第3部は再び響ホール室内合奏団とAIさんの登場です。
『西条八十・古賀政男コンビの「三百六十五夜」は、昭和23年に映画も歌も大ヒットの
名作を昭和37年東映がリメイクしたもので、主演は高倉健と美空ひばりでした。
懐かしの主題歌を、几帳面な性格のAIさんが当時の譜面のママ、再現していただき
ましたが如何でしたでしょうか。』

『高倉健と美空ひばりは共演作も数多く、東映べらんめえシリーズでは6本共演した。
その一本、昭和36年「べらんめえ中乗りさん」をわざわざ松永室長が選んだ訳は、
劇中唄われる木曽節三番の歌詞にある、
♪人はナー 中乗りさん 人は見目(みめ)より ナンジャラホーイ ただ心 ヨイヨイヨイ
という行に、人間・高倉健の人生観があるように感じたという事だそうです。』
当日のAIさんのヴォーカルは民謡・演歌からシャンソン風歌謡曲まで、圧巻の大熱唱
お疲れ様でした。ここまでものすごい無茶振りプログラムだったと思います、ハイ。
そんなAIさんの後を受け、この日最後の演目は日本映画音楽の巨匠たちの中でも、
孤高の作曲家・佐藤勝が、監督・山田洋次、主演・高倉健の布陣で挑んだ2作から。
まずはハリウッド西部劇の名作からリメイクした「遥かなる山の呼び声」から、
原典「シェーン」のテーマを序曲として。
続いて演奏される名作「幸福の黄色いハンカチ」の音楽には、全編にわたってナレー
ションを施したスペシャル・バージョン本邦初演がお披露目されました。
朗読担当はこれが初舞台となります当劇団(笑)のホープ吉田修士くん、
数か月に及ぶ鬼室長の地獄の特訓に耐えてのデビューであります。
練習の甲斐あってか概ね好評、コンサートも無事閉幕となりました。
何を勘違いしたのか朗読に感動した人も居たとか居ないとかwwww
今は来たるべき幻の次回公演「SHUJI on STAGE!」昼夜2部公演に向けて、
行け!修士 負けるな!修士 血の汗流せ 涙をふくな マルセの☆を掴むまで(笑)
わたしも彼の門出に、好きな曲を捧げましょう。
♪思い切り飛び出そうよ 夢にまで見たこのステージ
光の向こうにみんなが見えるよ
ひとりぼっちじゃないから どんな緊張してる時も
目と目が合ったら笑顔が生まれるよ
喜びも悲しみも全部連れたまま 未来へ進もう Fly away
注・くれぐれも昼夜2部公演の問合わせとかしないように。 By おりおなえ