~映画黄金期を彩った巨匠たちの軌跡~
1950年代から1960年代にかけて、日本映画は製作本数の豊かさ、観客の熱気と支持、そして作品の芸術性の高さ、そのすべてが最盛期を迎えました。国内では映画が国民的な娯楽として人々の日常に深く根づき、国際的にも高い評価を得たことで、「黄金期」と呼ばれる輝かしい時代が築かれたのです。
本展では、その中でもひときわ活気に満ちていた1950年から1964年(昭和30年代)を中心に、巨匠たちの名作ポスターをはじめ、映画館で観客に手渡されたプログラムや多彩な宣伝資料を通して、当時の映画文化の姿をたどります。スクリーンの内外で繰り広げられた熱気や工夫、そして作品が社会に与えた影響を、資料から感じ取っていただけることでしょう。
さらに、黒澤明や溝口健二といった世界的に知られる巨匠の作品に加え、個性あふれる監督たちが手がけた名作や話題作、広がりを見せた多彩なジャンルも取り上げます。当館が長年にわたり大切に収集・保存してきた貴重な資料とともに、世代を越えて受け継がれる日本映画の魅力を、心ゆくまでお楽しみいただければ幸いです。
展示概要
1.映画黄金期8人の巨匠たち ― 世界の映画史に刻まれた日本映画の金字塔。
展示資料▶ポスター『七人の侍』(1954/黒澤明)・『山椒大夫』(1956/溝口健二)
2.多彩な才能が咲いた黄金期 ― 個性豊かな監督たちが生み出した名作・話題作。
展示資料▶ポスター『わが町』(1956/川島雄三)・『ちいさこべ』(1962/田坂具隆)
3.映画会社の個性と宣伝 ― 映画会社それぞれの特色が表現された資料たち。
展示資料▶宣材『1958年新春松竹映画スターかるた(名鑑)』
4.スクリーンを彩った日活スターたち ― 青春・恋愛・歌がスクリーンを席巻した時代。
展示資料▶ロビーカード『夜の牙』(1958/井上梅次)・『渡り鳥故郷へ帰る』(1962/牛原陽一)
5.怪獣映画と特撮の世界(東宝) ― 映画館を震わせた迫力ある怪獣映画。
展示資料▶ポスター『ゴジラ』(1954/本多猪四郎)・『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964/本多猪四郎)
6.夢と冒険のアニメーション(東映動画) ― 日本初の長編カラーアニメーションから続く夢の世界。
展示資料▶ポスター『少年猿飛佐助』(1959/薮下泰司)・『わんわん忠臣蔵』(1963/白川大作)
7.映画館で出会う資料たち ― 観客が手にした映画館チラシから伝わる熱気。
展示資料▶劇場プログラム(昭和30年代福岡県内映画館発行)
8.映画館を飾った大型ポスター ― ロビーを彩った立て看板ポスターの迫力。
展示資料▶ポスター『羅生門』(1950/黒澤明)・『旗本退屈男 謎の珊瑚屋敷』(1962/中川信夫)
展示資料総数162点 (映画ポスター56作品・タイトル95作品を含む)を無料でご覧いただけます。